Memorandum

エアレンディルの冒険 覚え書き(23)

共通歴590年 群羊月 28日 扉の奥の部屋からはさらに先に続く通路が伸びていて、その付近に1匹のゴブリン、中央に4匹のゴブリンがいた。私は続くティリダテネスの進路を邪魔しないように、数歩前へ進み、部屋の中央にいたゴブリンのうち一番手近なゴブリンを…

エアレンディルの冒険 覚え書き(22)

共通歴590年 群羊月 28日 砦の出入り口は、5箇所。 私たちはその内の一つ、密輸団に助けを求めに行ったゴブリンが出入りしていた扉から侵入することを選んだ。この扉は、カモフラージュされていた隠し扉であるし、運が良ければ、先ほどのゴブリンがまだ近く…

エアレンディルの冒険 覚え書き(21)

共通歴590年 群羊月 28日 出掛けていくゴブリンの行方が気に掛かったのは私だけでは無かった。皆が皆ヤツの行方が気がかりだった。悩む我々を見て、隠れ身や忍び足を得意とするコナーが、ヤツの後を付けてみると言いだした。 確かにコナーの実力ならば、ゴブ…

エアレンディルの冒険 覚え書き(20)

共通歴590年 群羊月 28日 騒然となった砦は、しばらくすると不気味なほどの静まりを見せた。 私たちは(砦から発見されにくくする為)やや森の中へと後退し、コナーの帰りを待った。彼はゴブリンに接敵する時と同じように、見事にその身を隠しながら我々の元…

エアレンディルの冒険 覚え書き(19)

共通歴590年 群羊月 26日〜28日 アバーオーズ丘陵を旅して約3日。荷物(予備の装備や食料)を積んだラバを連れての徒歩の旅だったが、幸いにも途中で怪物に出会うことは無かった。僅かにあったトラブルと言えば、ラバが大型の狼であるシヴァの接近に怯えていた…

エアレンディルの冒険 覚え書き(18)

*1 共通歴590年 群羊月 23〜26日 様々な人の助力を得て、お世話になった魔術師アモッテン師の復活を果たすことが出来た。続けて、懸念であったベルター神殿跡に巣くっていた吸血鬼も滅ぼすことも出来た。 こうして、我々は漸く本来の依頼──ゴブリンの一団『…

エアレンディルの冒険 覚え書き(17-3)

王国歴 590年・群羊月・21〜22日 ゴブリンの一団の脅威があるとはいえ街道沿いの路であり、一度走破した道であったことも幸いし、我々は無事にベルター神殿跡へたどり着くことが出来た。 途中で、(ペイロア神殿からの)知らせを受け取ったらしい神官戦士たち…

エアレンディルの冒険 覚え書き(17-2)

王国歴 590年・群羊月・20日 まずはゲイル老師に密輸団のアジトで見つけた記録や書き付けのいくつかを渡し、ざっとみた砦の様子を伝えた。 砦で見つけた豪族の姫は、とりあえずアモッテン師が自宅で世話をするらしい。いつか彼女も国元に帰してあげないと行…

エアレンディルの冒険 覚え書き(17)

王国歴 590年・群羊月・20日 彼が言うには、中枢メンバーである冒険者(彼を含んだパーティらしい)は、ちょうど砦を留守にしているということであった。主要なメンバーは、首領の「戦士」、参謀の「魔法使い」、「司祭」(ドルイドのように思える)、「コック長…

エアレンディルの冒険 覚え書き(16)

王国歴 590年・群羊月・20日 砦の中は既に戦闘態勢が整っているようであった。姿こそ見せないが、敵が各所に配置され我々を待ち受けていることが感じられた。だが、我々は引くことは出来ない。アモッテン師の遺体はこの先にあるのだから。 我々はティリダテ…

エアレンディルの冒険 覚え書き(15)

王国歴 590年・群羊月・20日 東の空に太陽が覗く前に、ペイロア神殿から使いがあり〔死者蘇生〕の巻物を受け取ることが出来た。ゲイル老師の家へ準備が整ったことを告げに行くと、朝早いにもかかわらず、老師は我々を暖かく迎えてくださった。老師は、アレク…

エアレンディルの冒険 覚え書き(14)

共通歴 590年・群羊月・19日 さらなる情報収集をするため、一時宿で集合した我々の元に、子供が一枚の書付を持ってきた。内容は、アモッテン師の訃報は確かなものであること、最後に連絡を絶った場所はハードバイとアーバ=オーズの中程にある砦で連絡を絶っ…

エアレンディルの冒険 覚え書き(13)

そこで我々は役割を分担し、各所へと走ることとなった。 コナーは街の至る所に足を伸ばし情報収集を担当した。アモッテン師は本当に亡くなったのか? 噂の出所は? 師の受けていた依頼とはなにか? 誰が師に依頼したのか? 師を最後に見たのか? などなど私…

エアレンディルの冒険 覚え書き (12)

私たちは急な噂に驚きアモッテン師の自宅へと急いだ。堅く施錠された玄関をノックするが、返答はなかった。そこで、ご厚意で預かっていた合い鍵で玄関を開け中に入った。しんと静まりかえった応接室へ入ると〔魔法の口/マジック・マウス〕が発動し、師の声…

エアレンディルの冒険 覚え書き (11)

共通歴 590年・群羊月・18〜19日 女神は死力を尽くして戦った私たちにおおいなるご加護を下された。その後は襲撃者に会うことなく、ハードバイの街まで帰り着くことができたのだった。しかし、ハードバイへ戻ってきた私たちを笑顔で迎えてくれる人がいなくな…

エアレンディルの冒険 覚え書き (10)

共通歴 590年・群羊月・17日 拠点 女神の加護もあり、予定通りにゴブリンどもの拠点へとついたのは日が西に沈む前だった。薄紅に染まる空に、煮炊きの煙がうすくたなびいていた。夜を活動時間とするゴブリンどもの早めの朝食だろうか。奥へと続く扉の前には…

エアレンディルの冒険 覚え書き (9)

共通歴 590年・群羊月・15〜16日 ハードバイの街を旅立とうとする私たちに、不可思議な情報が入ってきた。それはジャスカー神官が伝えてくれたものだった。その情報とは、十数年前に邪悪なるベルター神殿で戦った勇士、故ジャスカー神官が今でも生きていると…

エアレンディルの冒険 覚え書き (8)

共通歴 590年・群羊月・2〜14日 平穏な日々 それから十日余りは、何事もなく平常に過ぎていった。コナーはどこへともなく姿を消しては情報を入手してきて皆に披露してくれたし、ティリダテネスは剣の鍛錬を欠かさなかった。私も時折は彼女の相手を努め、それ…

エアレンディルの冒険 覚え書き (7)

共通歴 590年・群羊月・1日 役割分担 漸くハードバイの街に帰り着いた我々は、まずは各所へと報告へ向かった。 ティリダテネスとコナーは昨夜出会ったアニスの危機を伝えに傭兵ギルドへと向かい、フベルトゥスは一足先にアモッテン師の家へ帰還を知らせに行…

エアレンディルの冒険 覚え書き (6)

共通歴 590年・開花月・28日 立ちふさがる怪奇 さて、一旦の帰途につこうとした我々はまたも大きな危機に遭遇した。 夜も更け、野営の準備をしていた我々の前にひとりの老女が現れたのだ。ただの老女なら、火の側に誘い歓談をもって遇することも出来たのだが…

エアレンディルの冒険 覚え書き (5)

共通歴 590年・開花月・27日 開かれた扉 交代で仮眠を取りながらの作業だったため、土砂を完全に撤去するまでに昼近くまでかかってしまった。現れた扉に刻まれた邪悪なる印に、我々は一層気を引き締め扉を開けた。奥の部屋には棺桶がいくつか置かれており、…

エアレンディルの冒険 覚え書き (4)

共通歴 590年・開花月・25日 惜しくも命を散らしたジャスカー神官の遺品のいくつかには、魔法の力が感じられた。そこで我々は、隠し部屋にて休息を取りながらその魔法の力の分析をすることにした。フベルトゥスが新たに習得した〔識別〕の魔術によると、鎧と…

エアレンディルの冒険 覚え書き (3)

共通歴 590年・開花月・24日 到着 やはり、我が女神は格別のご配慮をくれたようだ。道中妖魔どもの襲撃もなくベルター神殿跡に到着することが出来た。この神殿は切り立った崖の一箇所に巧妙に隠された裂け目からしか入ることは出来ないようだった。善なる光…

エアレンディルの冒険 覚え書き (1)

共通暦590年・春待月・15日 私たちの冒険は、ハードバイという街から始まった。 ここは偉大なる都市グレイホークの周辺都市であり、優秀なウィザード、アモッテン師がいることでも知られている。私たちはその師から依頼を受け、あるアイテムを師の元まで届け…

エアレンディルの冒険 覚え書き (0)

*1 端書 さて、まずはなぜ私がこのようなものを書き記すか。それを明らかにしておきたい。本来なら、このような書は「日記」など私書に分類されるもので、このようにかしこまった文体で記すものではない。しかし、私は冒険者である(そう! 「冒険者」なのだ…