エアレンディルの冒険 覚え書き(23)

共通歴590年 群羊月 28日

扉の奥の部屋からはさらに先に続く通路が伸びていて、その付近に1匹のゴブリン、中央に4匹のゴブリンがいた。私は続くティリダテネスの進路を邪魔しないように、数歩前へ進み、部屋の中央にいたゴブリンのうち一番手近なゴブリンを一刀で斬り捨てる。

進み出たティリダテネスは、華麗にレイピアを翻して一息で2匹のゴブリンを倒してしまった。通路付近にいたゴブリンが何事かを叫びながら、奥へと身を翻そうとした。その声を聞いたコナーが警告を発する──ヤツが士官クラスのゴブリンだと。

それを聞いたフベルトゥスは、部屋の中へと入ってきて狙い外さぬ〔魔法の矢/マジックミサイル〕を放った。3本の矢がヤツの体を貫いたが、少しふらついただけで倒れず奥へと逃げようとする。やはり、普通のゴブリンとはその生命力が違うようだ。
しかし、逃げだそうとしたその前には〔蜘蛛渡り/スパイダークライム〕のスリッパで天井を進んだコナーがいた。彼は床に着地すると同時に、魔法の短剣『ハランダー』でそのゴブリンを切り伏せてしまった。残った一匹のゴブリンも、ティリダテネスに斬りかかろうとして、逆に倒されていた。

私は剣を収めると、士官クラスと思われるゴブリンに近づき、生死を確かめた──まだ生きている。衝撃で気を失った状態だったらしい。皆にそのことを告げ、私はそのゴブリンの応急処置を始めた。

正直に言うとゴブリンに治療など施したくはないが、情報を聞き出すためなので仕方がない。程なくして意識を取り戻したそのゴブリンは、顔を上げ我々を見た後、諦めたように首を振った。どうやら、素直に情報を聞き出せそうだ……。