エアレンディルの冒険 覚え書き (0)

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端書

さて、まずはなぜ私がこのようなものを書き記すか。それを明らかにしておきたい。本来なら、このような書は「日記」など私書に分類されるもので、このようにかしこまった文体で記すものではない。しかし、私は冒険者である(そう! 「冒険者」なのだ!!)。

不測の事態によって万が一この書が他人に渡った場合を考慮し、第3者に理解しやすい文体で書くことを決心し筆を取った。もしもこの書を手に入れた方がいたら(それは多分私にとってなにか不幸な事態が起こった時、ということだが)、私がいかにして旅に出たか、そしてどのような生き方をしたか、それを記憶して欲しい。そして願わくは、我が同胞へこの書を届けていただきたい。きっと同胞たちは貴方の勇気と善に満ちた行動に敬意を表するだろう。
次には私自身の紹介をしよう。私の名は、エアレンディル・サトゥルトゥース。親しき友はエディと呼ぶ。エルフの古語で(そう、私は森の民エルフだ)、「森の輝き」と言う意味になる。成人のおりにこの名を長老からいただいた時には(エルフは成人と同時に新しい名も手に入れるのだ)、過分すぎる名をいただいたものだと思ったが、今ではその名に恥じぬよう自らを高めるバネになる良い名だと感じている。

私が生まれ育った至福の森を出たのは半年ほど前になる。理由はもちろんある。そうでなければ、何故、私が愛し守るべき森を出るだろうか! 
私は、私の前に森を出たひとりのエルフを追いかけるため故郷を後にしたのだ。

私と彼女は同サイクル(この概念を説明するのは少々難しい。人間の感覚からすると「幼なじみ」だろうか?)であり、名をリリィ(おっと、これは幼名だった)、いや、ティリダテネスという。彼女は長老の語る勇者の話にいたく感銘したらしく、気付いた時には森の外へ出る許可を取り付けていたのだ。

彼女は華麗にレイピアを扱う戦士であるし、私たち若いエルフの中では抜きん出て優秀な素養を持っている。だがしかし、成人してからまだほんの10年しか経っていないのだ!
そんなリリィがひとりで危険に満ちあふれた外の世界に旅立つなんて! しかも私に相談のひとつもなく!! 

……まぁ、こうして無事再会できたのだから、そのアローナの導きには素直に感謝し、我が女神に一層の祈りを捧げよう。

さて、今日はたのもしい私の仲間たちを紹介したい。

ティリダテネス

まずは同胞でもある、ティリダテネス。

彼女のことは前にも少しふれたが、優秀な戦士である。もちろん戦士であるから、あらゆる武器の扱いに慣れ親しんでいるが、なかでもレイピアを扱うことを得意としている。
そして彼女は、レイピアを扱うための敏捷性にだけでなく、充分に敵を刺し貫くだけのしなやかな筋力をも兼ね備えている。戦況を見極める判断力も持っているし、術者の長が(もちろん私も)魔法を学ばせようとするだけの素養や知識も備えている。

このまま戦士として修練を積めば、それこそ長老の語ったような優秀な戦士になることだろうし、素質にあふれた彼女の前にはその他の選択肢も豊富に用意されている!

フベルトゥス

次は、秘術呪文の使い手であるフベルトゥス。

私も初めは驚いたが、彼はドワーフである。もちろんドワーフといえば、勇敢なる戦士であり、石工でもある地下の盟友である。だがしかし彼は、ウィザードなのだ!
初めてそれを聞かされた時は、思わず問い返してしまったものだ。ここに改めてその無礼を詫びさせてもらいたい。

彼もドワーフの例にもれず勇敢であるし、正直その知識の量には感銘を禁じ得ない。優秀なる呪文の使い手であり、知識の守護者ウィザードとして適切な助言を行ってくれる。しかも彼はウィザードとしてはかなりタフである! そのタフネスは冒険をするにあたってきっと彼を助けるに違いない。

コナー

次に紹介するのは、ハーフリングのコナーである。

彼は、盗賊である。そう聞くと誤解をする方がいるかも知れないので、彼の名誉のためにもここにひとこと書き記しておきたい。彼は、人の財布をスリ取るようなケチな泥棒ではなく、遺跡や迷宮を探索するための技能に優れた冒険者だ。彼がいなければ、私たちは日の差さない迷宮を探索しようとはけっして思わないだろう!

その小さな体と素早い動きはハーフリングという種族のなかでも飛び抜けているように思う。だが、体の小ささで彼を侮ったものはきっと後悔することになる。彼は優秀なる弓の使い手であるだけでなく、適切に急所を突く戦い方で力のなさを充分に補えるからだ。
もちろん、旅の間には彼特有の(ハーフリング特有の?)陽気さが我々の救いになるということは記すまでもない。

エアレンディル

そして私、エアレンディルは神官である。

私が祈りを捧げるのは、優しき森の女神アローナである。森と森に住む動物たちを守護し、植物や動物と心を通わせる術を授けてくださる偉大なる方だ。私たちエルフやドルイドなど森を愛する者が帰依するにまことに相応しい神の一柱であらせられる。

女神の好む武器はロングソードであり、私も戦いの際にはこの武器を振るう。もちろん戦士ではないので、決して戦いの技に熟練しているとは言えないが、それでも自分の身を守れる位の訓練は積んでいるつもりだ。

もちろん偉大なる方の力をお借りして信仰呪文を唱えることも出来る。

シヴァ

そして最後に、女神が授けたくれた力で心を通わせた友、シヴァ。

彼は、森に住むオオカミである。群れに残れば、長にもなろうかという勇敢な狩人であり戦士である。だが彼は、私が旅立つ時一緒に森を出てくれたのだ。その勇気と友情に感謝し、私は彼のことを友と呼ぶ。

その名の意味は、遠い東の果ての荒ぶる戦いの神からとり名付けた。彼もその名を気に入ってくれたようで何よりであったと思う。

*1:この覚書はエアレンディルのプレイヤが作成したものを転載している。感謝!