エアレンディルの冒険 覚え書き (7)

共通歴 590年・群羊月・1日

役割分担

漸くハードバイの街に帰り着いた我々は、まずは各所へと報告へ向かった。
ティリダテネスとコナーは昨夜出会ったアニスの危機を伝えに傭兵ギルドへと向かい、フベルトゥスは一足先にアモッテン師の家へ帰還を知らせに行った。

聖カスパード神殿での接見

私はまず、善の神々の神殿で祈りを捧げ、無事帰還できたことを感謝した。次に、聖カスパード神殿(この街一、徳の高い神官が居られる)で、ジャスカー神殿跡で見つけた重要な発見を2点伝えた。

ひとつはジャスカー神殿跡に潜む邪悪な不死者の封印が解けかかっているということ。もうひとつは、悪しき計画(ヴァーボボンク領を裏から支配する)が水面下で進行している危険性があることについてである。

残念なことに、最高司祭様へのお目通りは叶わなかったが(お忙しい方であるので当然だが)、応対していただいた司祭様もこの危険を充分に承知してくださったようで、早急な対処をお約束していただけた。

地下の不死者の討伐は、神殿内と合わせて冒険者からも勇士を募り早急に行うことになるだろうというお言葉をいただいたので、そのおりには我々にも一言お伝えいただけるようにお願いしておいた。

アモッテン宅にて

神殿での報告を終えアモッテン師の家へ私が着いた時には、もう皆が揃っていた。アモッテン師は温和な笑顔を浮かべて我々の帰還を祝ってくれた。フベルトゥスは探索中に見つけた巻物や呪文書をさっそく広げていたが、それらが師の笑顔を何割か深いものにしていたことは間違いなさそうであった。そこには、貴重な呪文がいくつか書かれていたからだ。

しばらくは呪文の研究をしたいというフベルトゥスを師の家に残し、我々は3人でジャスカー神殿へと向かった。勇敢なる神官の遺品を届けるために。
道すがら、ティリダテネスは傭兵ギルドで聞き込んできた話をしてくれた。内容は、ハードバイ近郊を根城にするゴブリンの一族「闇の宴」の動きが活発になっているというものだった。そういえば、ベルター神殿にもゴブリンの一団がいたが……あれも、闇の宴団のものだったのだろうか? 少し調べてみる必要があるかもしれないと、我々は頷き合った。

ジャスカーの小神殿で来意を告げると、幸いにも神官殿とお会いすることが出来た。彼に、十数年前の戦いで勇敢に邪悪を討った神官の遺言を届け、遺品のいくつかも渡すことも出来た。神官殿は、彼の遺族の場所を知りたい(もちろん、残りの遺品を届けるためだ)という我々の依頼を快く引き受けてくれた。遺族の行方が分かったら知らせをくれるとの約束を得て、我々は神殿を後にした。

宿の手配

以前はアモッテン師のご厚意に甘えた我々であったが、今回は少し長めの滞在になりそうであったので、師の誘いを辞去し、宿を探すことにした。冒険者も行き交うここハードバイの街には、宿泊施設もいくつか揃っていたことも幸いして、我々は、なんとか清潔ですごしやすそうな宿を見つけることができた。