エアレンディルの冒険 覚え書き(17-2)

王国歴 590年・群羊月・20日

まずはゲイル老師に密輸団のアジトで見つけた記録や書き付けのいくつかを渡し、ざっとみた砦の様子を伝えた。
砦で見つけた豪族の姫は、とりあえずアモッテン師が自宅で世話をするらしい。いつか彼女も国元に帰してあげないと行けないだろう。それとも「政治的」な何かがあって、ハードバイ市か、グレイホーク駐留軍がそれを行うのだろうか?
無事復活を果たしたアモッテン師は、未だ本調子ではないのに、(とても感謝をしてくれて)、宴の支度をすると言ってくれたのだか……私たちには休む暇はなさそうだった。

各所に報告に行った我々の耳に、ペイロア神殿が我々の報告した『ベルター神殿跡の魔物』を退治させるために神官団を派遣したという情報が入ったのだ。派遣された神官戦士は、まだ初級者といってもいいくらいの青年たちで、彼らでは恐らく地下の魔物には勝てないだろうと思われたからだ。

そこで、我々はペイロア神殿へと急ぎ、本当に神官戦士を派遣したのかを問いただした。帰ってきた答が是だったので、その派遣は危険なので取りやめてくれるように頼んだ。そして、替わりに我々が不死者退治に行くことを認めて欲しいと願い出た。

地下に巣くう不死者は恐らく『吸血鬼』。生半可な者を行かせても、ヤツの下僕が増えるだけなのだ。我々にとっても『吸血鬼』は強敵だが、敵の正体や強さ(〔不死者感知〕を実際に唱えたのは私だ)が分かっている者が行った方が勝算が高い。それに我々は、直接神殿跡の探索も行ったのだ。地の利も神官戦士たちよりあるだろう。加えて、我々の実力も、ここ数週間の冒険の中で確実に上がっている。おそらくは、『吸血鬼』を倒すことが出来るだろう。
こう告げた我々に、ペイロア神殿から正式な依頼として『吸血鬼退治』が命じられた。

こうして我々は、アモッテン師に新たな依頼の話を告げ、急ぎ旅支度を始めた。